人質令嬢、第二王子と国家反逆を狙う

 数日後、私は第二王妃のお茶会に参加させていただいた。


「ご無沙汰しております、婦人」

「まあ、ヴォーティガン嬢。久しいわね。先月ヴォーティガン夫人にお目にかかりましたが、あなたのことをとても心配していらしたわよ」

「教えていただきありがとうございます。来月からの地方視察の際に帰郷してまいります」


 第二王妃派の婦人方ばかりの集まりだから、皆さま私に親切にしてくださるし、両親との近況報告も橋渡ししてくださるのでありがたい。

 ありがたいことではあるのだけれど……。

 婦人たちの手によって、目の前に山と積まれた菓子を眺める。全て食べたら、コルセットがはちきれてしまうかもしれない。


「そういえば、最近の国王陛下はいかがでいらして? お目通りの機会がないと、主人が嘆いておりましたの」

「モルドレッドがしばらく不在になりますから、その分、アーサー殿下とお忙しくされているようですね。私も最近は、食事の時くらいしかお顔を合わせておりませんの」

「あら、仲睦まじいドレイク王家がですか?」

「アーサー殿下もお忙しそうよねえ。先日見合いを持ち掛けたら断られてしまいましたわ」

「政務もけっこうですけど、浮いた話の一つや二つ、ねえ?」

「それもある意味政務ですものねえ、王族にとっては」

「で、ヴォーティガン嬢はモルドレッド殿下の求婚をお受けになりましたの?」


 次々と勧められるお菓子をつまみながら耳をそばだてていたら、ふいに話題が私へ向いた。

 第二王妃派のお茶会では毎度おなじみの話題なのに、毎回返事を用意していない私が悪いのだけれど!


「い、いえ……その、私個人としては、お受けすることもやぶさかではないのですが……」

「やぶさかではないのね?」


 あ、間違えた。

 婦人たちが、目を輝かせながら私を覗き込んだ。

 第二王妃殿下を見ると、にこりと微笑みながら優雅にお茶を召し上がっていらっしゃる。

 仕方ない、覚悟を決めましょう。

 そして夜の訓練では、師匠をぎたぎたにして差し上げましょう。


 観念して、崩れかけていた笑顔を作り直した。