人質令嬢、第二王子と国家反逆を狙う

 俺――モルドレッド・ドレイクが視察の準備を進めている間、同行するジェニファー・ヴォーティガンも忙しく過ごしているようだった。


 ジニーは以前から、俺の母である第二王妃と専属講師から王妃教育を受けている。視察への同行が決まってからは、その内容も一段と増えたと補佐官から聞いていた。

 ……本人から直接聞いていないのは、俺が彼女に近づけずにいるからだ。

 兄上のことを考えさせてほしくて距離を置いたけど、普通に寂しくて泣きそうになる。

 でも、ジニーに会うと甘えてしまうし、これは自分で考えないといけないことだった。



 俺が悩んでいる間も、ジニーはほとんど変わらない様子で過ごしているように見えた。

 朝晩は稽古に励み、日中は王妃教育を受けたり、母が開くお茶会や社交パーティの支度を手伝ったりしている。

 離宮を取り仕切っているのは母だけど、その大部分にジニーが関わっているから、社交シーズンと視察の準備が重なった今は、ひどく忙しそうだった。

 会場の装飾はどうするか、リネンの種類、食事のメニューに流す音楽、それから依頼する楽団まで。

 ジニーが忙しそうに立ち働いているのを見ると、「頼もしいなあ」と感心する気持ちと、「今はそんなことをしてる場合じゃないだろう!?」という焦る気持ちの間で揺れた。

 そのどちらも、原因は俺や兄上、そして父上にあるというのに。



 兄上は相変わらず、父上にべったり張り付いていた。

 何かと理由をつけて王宮を訪ねるけど、必ず兄上は父上の側にいた。

 ただ一緒に仕事をしているだけじゃない。兄上は付き人みたいに父上へ張り付いていた。

 兄上にだって本来の仕事があるはずなのに、それらは側近や兄上派の貴族たちへ、それとなく回しているらしかった。

 そのうえ兄上は、父上の仕事の半分以上までこなしていた。残りは父上の側近や俺へ回ってきている。

 普段とは少し毛色の違う仕事が増えたとは感じていたけれど、そういう経緯があったらしいと、俺の側近や専属侍女、それから非公式で抱えている調査員たちが調べてきてくれた。

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