人質令嬢、第二王子と国家反逆を狙う

 私は早朝と夜間の訓練を、少しだけ増やした。

 いい機会だから、剣の素振りだけではなく、体術も教わることにした。

 有事の際、自分の身だけでも守れるようになりたかった。

 師匠に頼み込み、組み手や模擬試合の時間も増やしてもらった。

 ……私はヴォーティガン家の者として、お荷物にだけはなりたくなかった。




 王妃教育の合間には、第二王妃殿下の予算作りも手伝っていた。


「社交シーズンまっただ中にジニーが側にいないのは寂しいわね」

「そう言っていただけて光栄です」

 「会場の手配や料理の検討、招待客の選定まで、あなたには助けられていたのだもの。いてくれないと寂しいわ」


 第二王妃殿下は唇を尖らせた。


「そういえば」


 私は書類をめくる手を止め、第二王妃殿下へ視線を向けた。


「最近王宮には行かれましたか?」

「ええ、参りましたよ。昨日、妃殿下と昼食を共にしましたから」

「……なにか、変わったことなどはありましたか?」


 なるべくさりげない調子で尋ねると、第二王妃殿下は手にしていた書類で口元を隠した。

 第二王妃殿下は、視線だけで左右を確かめた。

 私も同じように周囲に人影がないことを確認し、そっと第二王妃殿下へ体を寄せた。


「あなたは鼻が利くのね」

「……それは」


 思わず第二王妃殿下を見返すと、殿下はにこりと微笑んでいらした。