王宮から離宮に戻ったあとも、モルドレッド殿下は何も言わなかった。
私と目を合わせることもなく、長い廊下をまっすぐ執務室へ向かっていく。扉の前で、殿下はようやく立ち止まった。
「ジニー」
「はい」
「きみが、確認したかったことは聞けた?」
「……はい」
「俺、このあと訓練があるんだ。着替えるから、またね」
モルドレッド殿下は早口でそう告げると、逃げるように踵を返して去っていった。
「申し訳ございません、ヴォーティガン嬢、モルドレッド殿下は」
「大丈夫です」
私は補佐官の言葉をやんわり遮った。
「大丈夫ですから、殿下をよろしくお願いします」
補佐官は四角いメガネの奥で、静かに目を細めた。
「……わたくしといたしましても、ヴォーティガン嬢を早く妃殿下とお呼びしたいのですが」
「それ、離宮の外で言わないでくださいね」
「離宮務め一同、心得ております」
彼はうやうやしく頭を下げると、磨き込まれた廊下を早足でモルドレッド殿下のあとへ追っていった。
その背中が角を曲がるのを待ってから、私も踵を返し第二王妃殿下の部屋へと向かった。
***
私と目を合わせることもなく、長い廊下をまっすぐ執務室へ向かっていく。扉の前で、殿下はようやく立ち止まった。
「ジニー」
「はい」
「きみが、確認したかったことは聞けた?」
「……はい」
「俺、このあと訓練があるんだ。着替えるから、またね」
モルドレッド殿下は早口でそう告げると、逃げるように踵を返して去っていった。
「申し訳ございません、ヴォーティガン嬢、モルドレッド殿下は」
「大丈夫です」
私は補佐官の言葉をやんわり遮った。
「大丈夫ですから、殿下をよろしくお願いします」
補佐官は四角いメガネの奥で、静かに目を細めた。
「……わたくしといたしましても、ヴォーティガン嬢を早く妃殿下とお呼びしたいのですが」
「それ、離宮の外で言わないでくださいね」
「離宮務め一同、心得ております」
彼はうやうやしく頭を下げると、磨き込まれた廊下を早足でモルドレッド殿下のあとへ追っていった。
その背中が角を曲がるのを待ってから、私も踵を返し第二王妃殿下の部屋へと向かった。
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