社長と出会ってしまったら、甘く溺愛されるだけ。

だから、二人でなかったことにしたら良いと思った。

でも、何故か社長はずっと私から目を逸さなかった。




「浜本さん。なんか、泣きそうだ」




社長はたった一言、震えた声でそう言った。

そして、くまのキーホルダーごと私の手を片手でぎゅっと握った。


「ごめん、嫌だったらすぐに振り解いて」


弱々しい声、でも社長の手を振り払いたいとは思えなかった。

だから、そのまま動かなかった。