社長と出会ってしまったら、甘く溺愛されるだけ。

だから、つい悔しくなって私は思いっきり手で社長に向けてパタパタとして扇ぎ返す。

しかし、クリアファイルと手では風を起こせる量が違いすぎて社長が笑っている。




「それは扇ぎ返しているつもりなの? じゃあ、ほら。もっと頑張らないと」




社長がクリアファイルで煽ぐのを止めて、目を閉じて私の作る風を顔で受けている。




「まだ全然だよ、ほらもっと」




意味が分からない状況なのに、とりあえず手をパタパタと一生懸命動かす。

そんな私とは裏腹に社長は風を受けて気持ちよさそうに、口を開いた。





「ねぇ、浜本さん。この前はありがとう」




次の瞬間には、もう社長は目を開けていて。

パタパタと動かしていた私の手をパシッと止める。

そして、そのまま私の手を握って離してくれない。