あの人がコロサレタ

次の日、リノアは学校に来なかった。


悠介の死が相当ショックだったのだとよく分かった。


「あっ、そういえば…」


学校を休んだらおじいさんが家に来るんじゃなかったっけ?


それを思い出した私は、リノアにメールした。


『リノア!お願い、学校に来て。学校を休んだらおじいさんが家に現れるらしいから』


私は朝のホームルームの前にそう送った。


しかし、昼になってもリノアからの返事はなかった。


「リノア…お願いだからメール見てよ」


そんな私の声もリノアには聞こえない。


そうだ、それならリノアの家に行けばいいんだ!


私はこっそりと学校を抜け出し、リノアの家へと急いだ。


リノアの家に着いてインターホンを鳴らす。


けれど誰も出てこない。


リノアの両親は仕事が忙しく、いつも帰りが遅いと前に聞いたことがあった。


家の中にいるならリノアだけだろう。


私は家のドアを叩きながら、


「リノアー?いる?」


そう叫んだ。


するとリノアが2階の窓から顔を出した。


「あ、亜紀…」


それだけ言うと、すぐに窓を閉めた。


そして、ドタドタと階段をおりる音が聞こえた。


カチャっとドアが開いて、リノアが出てきた。


「リノア…」


きっと夜は眠れなかったのだろう。


目の下にクマができていて、目が充血している。


「大丈夫?」


大丈夫じゃないと分かっていたけれど、今はこの言葉しか出てこなかった。


「うん、大丈夫。上がって」


小さい声でそう言って家にあげてくれた。


「お邪魔します」


リノアの部屋に入るのは、何気に初めてだった。


ピンク色のベッドにぬいぐるみがたくさん置いてある、可愛らしい部屋だった。


「適当に座って」


そう言われて、私はリノアの前に座った。


「ごめんね。こんな顔、見せたくなかった」


申し訳なさそうに謝るリノア。


「ううん、辛かったよね」


私はできるだけ悠介くんの名前を出さないようにした。


「うん…」


リノアの返事を最後に、会話が途切れた。


何をいえばいいのか分からないまま、10分が経過した。


そうだった、私、リノアを学校に連れて行こうと思って来たんだ。


「リノア。こんなときに言うのもアレだけど、学校に行こう。休んだらおじいさんが家に来るんだって」


「えっ…」


リノアは驚いた表情を見せた。


「辛いのは分かるけど、私はリノアを失う方がもっと怖いよ」


「私も、おじいさんなんかに殺されたくない。けどこんな顔で外には出られないよ」


確かに今のリノアは酷い顔をしている。


なんとかならないかな…。


「あ、そうだ!クマはメイクで隠せばいいんだよ」


リノアはキョトンとしている。


私は、「ちょっと待ってて」と言いリノアの家を後にした。