漢字アヤツリ!!

字取師(じとりし)とは字の一部分を切り取って取り憑いた悪者を取り除くもの。
文字通り字を取る者という言葉だ。
悪に取り憑かれた人間に襲われそうになった中学生の文香(ふみか)
知らない男にナイフを振りかざされた危機一髪の時、字取りの能力を持つ少年カンジが現れる。
カンジは心という漢字を唱え、心という文字を自らの手の甲に筆ペンで書いた。
すると、ナイフを持った悪人面の男が急に優しい顔になる。
字取りの力で、悪い者に取り憑かれた男を元の普通の人間に戻したのだ。
その男はナイフを捨て、記憶がないような顔をしながらその場を立ち去った。
驚いた顔の文香。するとジトリ師を名乗る少年は笑顔で手を差し伸べた。
「悪の下の部分を取ると亜という漢字になるから、あの男は悪いことをしなくなるんだよ。こういう戦い方を得意とするのがジトリ師なんだ」

ジトリ師は人間に取り憑く悪を取り除く存在らしい。少年は文香と見た目は同じくらいの年齢に見える。
「俺、字取カンジって言うんだ。実は、君と同じ中学校に転校が決まっていて、今日は新しい中学校に手続きに来たんだ。その帰り、悪者に取り憑かれた人間から偶然助けることができてよかった」
見た感じ、好少年で優しそうで強そうな感じがする。カンジの顔立ちはかっこよくスタイルもいい。
なんだか初恋が突然訪れたような気持になった。

「明日から、クラスメイトだな。よろしく。あと、君、ジトリの力を持ってるな。そのままにしておくのはもったいない。よかったら俺の家に漢字のアヤツリ師をやっているじいちゃんがやっている道場があるんだ。ジトリを進化させるとアヤツリ師になれる。訓練をしてみないか。書道と武道を足して二で割ったようなものだ」
すぐそこの家は元々カンジのおじいちゃんの家。
カンジはアヤツリ師として訓練や修行を積み不思議な能力で闘う戦士らしい。
カンジは明るい感じで闘うときは少しばかり大人びて見えた。
髪形も芸能人の誰かと似ていて、なんだか心がとろっとふわっとしたような気持になった。

文香自身、あまり書道や硬筆の類は得意ではないのだが、好奇心に負けてしまい道場に行ってみると、カンジのおじいちゃんがいた。
文香はジトリシについて色々説明された。
漢字は割と好きなほうだ。
もし、一緒に当面ジトリ師として仕事をすれば、彼の一番近くにいるパートナーとなれるだろう。

アヤツリ師の敵は悪者(あくじゃ)らしい。
悪者は日本全国におり、子供の中、大人の中に紛れて生活しているらしい。
人間には悲しいとか憎しみとか怒りなどの感情があるが、それに取り憑く悪者(あくじゃ)がいる。
宿る漢字を見破り、悪者に取り憑かれた人を救うのがアヤツリ師の役目らしい。
悲、怒などは心が漢字の中にあり、その中の心を取り除くと取り憑かれた人間は元に戻る。
その他、闇ならば音という字を取り除けば門になるので、悪者から救うことができる。漢字のバリエーションは無限にたくさんあるらしい。
アヤツリ師になるには、かなり漢字に詳しくないと難しい。
漢字の勉強が必要になるということだった。
衝動的に人間が事件を起こすのは悪者の仕業らしい。
人の心を自在に操る力がある悪者と対決しているカンジってかっこいいなと思う。

同じ地区に住む中学生くらいの少年がいる。彼は悪者の血を引く正当な後継者らしい。
闇城(やみしろ)バケルという悪者と対峙できる人材として字取カンジがこの街にやってきたらしい。
この町で最近事件が多発しているのは彼の仕業だという。

その帰り、イラストで見た通りの鋭い目つきの少年に合う。
闇城バケルだと思われた。
彼は好きで悪者をやっているわけではなく、その家系に生まれると字を付け足すことをやらなければいけない使命があるらしい。
バケルは鋭い目つきが特徴で冷たい印象をまとっていた。
バケルが人間に危害を加えようと筆ペンを持っていた。
悪者の存在は未だ謎に包まれているが、大昔から漢字を操り、人間に悪事をさせる者だという。
いいことも悪いことも世の中に存在するのはアヤツリ師と悪者が両方いるかららしい。

近くで見るとミステリアスでどことなくかっこいい風貌のバケル。
白い修正筆ペンらしきものを持っている。
恋という字を紙に書き、修正筆ペンで消した。
こちらをじっと見る瞳は黒く大きく吸い込まれそうになる。
漆黒の前髪は長めでどことなく暗い印象だけど、かっこいいなと見とれてしまう。

「恋という字の下には心があるだろ。それは下心だ。愛には下心がない。恋と愛の違いは心の場所なんだよ」

にこりと笑いバケル少年は去っていった。
まるで文香の心の中を見透かしたような顔をする。
ジトリというよりカンジに興味があって一緒にいることを見透かされたと文香は感じてしまった。
そして、恋の下心を取られた文香はカンジに対して恋愛感情を抱かなくなり、ジトリの修行を辞めてしまった。
そして、恋愛感情が文香にはなくなってしまった。
恋ではなく愛の感情はあるのかもしれないけど、それは今はまだわからない。
字を取ることで運命を変える。
バケルは本物の字取師であり、優秀なアヤツリ師だったようだ。