わざとお粥の入ったお椀を渡すと、本当に子どもみたいにジタバタと手足を動かして暴れる。そこまで暴れなくても、食べさせますから…。スプーンを口元に持っていくと、大きく口を開けて頬張ってくれている。
大学でも子どもみたいに女の人たちと話しているのを見るけど、さらにバージョンアップして甘えられている気がする。私もこんな風にお母さんに甘えられたら、海外に連れて行ってもらえていたのかな。なんて考えていたら、手が止まっていた。
善「…灯早ちゃん?」
「あ、ごめんなさい」
善「あとは自分で食べるね」
持っていたお椀を、手から優しく剥がされた。熱さに体を反応させながら、一口食べるたびに私に満面の笑みを見せてくれるので、作って良かったと思える。
善「みんなはご飯食べたの?」
「どうだろう?私はまだだけど」
善「そう。この寮は、一応自分の分は自分で作るっていうルールがあるんだ。休みの日は別だけどね」
覚えておいてね、と空になったお椀を差し出した善くん。冷蔵庫は共同なのかな、キッチンも共同だったしなと考えながら、この寮のルールを吸収する。善くんに薬を飲んでもらい熱を測ると、微熱があった。
「お風呂、入る?」
善「入れてくれるの?」
「自分で入って。熱はそんなにないみたいだけど」
善「動く元気ないから、行かない」



