勝手にヒートアップして、櫂くんの本当の警告かもしれないのに、突き放す言い方をした。勢いに任せて言い切った私に、小さくため息を吐くと〝あっそ〟と返される。そのままそれ以上何も言わずに、肩をぶつけて出て行った。
バタンと隣で大きく扉が閉まる音が聞こえてから、その向かい側の扉を優しく二回叩いた。すぐに中から悠馬さんが顔を出す。
悠「派手に喧嘩したね」
「喧嘩っていうか…。あ、あの。携帯、返してもらうの忘れてて」
悠「…あ、ごめん」
悠馬さんのお尻ポケットから出てきた携帯を受け取る時、〝実はずっと携帯が鳴ってて。気づいてたけど、櫂からだって分かってて無視してた。ごめんね、俺のせいで櫂を怒らせちゃって。〟と言われて、私が返事をする前に扉は静かに閉まった。
画面をタップすると、悠馬さんの言う通り来ている通知がほぼ櫂くんで埋め尽くされていた。時々善くんの名前も見えたけど、特に気にしていないような文面。櫂くんは、〝返事しろよ〟〝何かあったとかないよな〟過保護な親みたいなメールばかり。
「…心配かけて、ごめん」
顔を見て言えればな。扉の向こうにいる櫂くんに言ったけど、ここで言っても伝わってない。でも悠馬さんのことでムキになって強く言ってしまったから、扉をノックする勇気もない。
トボトボと善くんの部屋にも向かい、扉をノックする。すると、少し顔色の悪い善くんが出てきた。



