仰け反りながら目元を腕で隠すような仕草を見せた後、下唇を噛んでこちらに照れ笑いを向けてきた。その全部の行動が余裕があって格好良くて、既婚の男の人を好きになってしまったような、後悔を感じた。
カフェを出ると、外は雨が降っていた。傘をささないとあっという間に濡れてしまう。
「傘忘れた…」
横でバサっという音が聞こえる。悠馬さんが傘を広げてこちらに傾けてくれていた。
悠「入る?」
「…今日だけ。ありがとうございます」
この雨の降り方は、断れない。家まで距離あるし。悠馬さんに携帯を取られていたことも忘れて、悠馬さんと花の話でまた盛り上がった。
この相合傘を遠くからある人に見られていたことにも気づかず、悠馬さんとの二人きりの空間を私は楽しんでいた。
「ただいまです…」
園「おかえり。今日から灯早ちゃんも、この寮の仲間入りか…。よろしくね」
「よろしくお願いします。花の手入れとか、家事とか色々させてください」
園「お!花の手入れ、昨日園田さんが言おうとしてたんだけどね!手伝ってくれるの、助かるよ」
玄関先に座り込む園田さんとそんな会話を交わして、私の紅一点の寮生活が始まった。



