直線に設計されている廊下の端々には新緑の観葉植物が置かれていて、園田さんの趣味なのか見たことのない品種ばかり。
一つだけ珍しく、廊下の突き当たりに黄色い葉の観葉植物がある。その隣の部屋が空き部屋らしく、案内された部屋は埃が一切ない、アンティークな本屋さんのような雰囲気。
櫂「飯、食った?」
「ううん」
櫂「冷蔵庫にあるもんで良いなら、何か作るけど」
「ありがとう。でも食欲ないかも」
櫂「明日は食えよ」
心配性の母親のような口ぶりでご飯の心配をしてくれると、〝俺の部屋、隣だから。〟と言って逃げるように私に背を向けた。
「櫂くん!」
私の呼びかけにほんの少し肩を震わせて、背を向けたまま止まる。
「本当に、ありがとう。さっきも、慰めてくれて…」
櫂「…遊ばれたけどな」
振り向いた表情はあどけなさがあって、嫌がられていたわけではないのが分かって、安心した。
「あれは…、嬉しかったのと、照れくさかったのと両方あったから」
まさか胸を借りれるとは思わなくて、恥ずかしかったのが正直な気持ち。櫂くんの気遣いは嬉しかったけど。
櫂「また泣くか?俺の巣、使うか?」
「いらない!泣かないし」



