胸の前で小さく手を合わせて、お弁当より先に園田さんからもらった饅頭を一口食べる。苦味がしっかりある本格的な抹茶の味がする。
「美味しい…」
手元に残ったものを一気に口に放り込み、園田さんの方をチラッと見ると、饅頭を食べる私を見ていたのか、目が合った。微笑まれると、またこちらに小走りで駆け寄ってくる園田さん。
「何回もごめんねー。灯早ちゃんの雰囲気にぴったりの花が家にあるから、プレゼントしたいんだけど」
「えっ!でも、もらうようなことは何もしていないから…」
「花壇に目をやってくれる人って実は誰もいなくて、ただ嬉しかったんだよ」
一度は断ったけど、園田さんの嬉しそうに話してくれる、花に対する慈しむような眼差しを見たら、断れなくなった。
この後は家に帰るだけだったので、そのまま園田さんに付いて花をもらいに行くことになり、軽トラックの助手席に乗せてもらう。
「よし、着いたよ」
「え。ここ…、ですか?」
外見だけの思い込みって良くないなと思わされる。着いたと言われて目線を外にやると、外国の宮殿と勘違いしてしまうほどの土地の広さに、立派な門構え。
「足がすくみます…」
園田さんが門の鍵を開けている間もじもじしていると、背中にトンと何かが当たった感覚がして、すぐに人とぶつかったと分かった。



