陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい





半分ヤケクソになって、トイレに篭った。扉を閉めてしゃがみ込むと、明日から一人になる不安と、何も相談せずに決めた両親への怒りがゆっくりと湧き上がってきた。絡まって解けない糸みたいに、答えの見えないむしゃくしゃした感情。


深呼吸しても落ち着かなくて、でも泣けなくて。



ふと、さっき連絡先を交換した相手の顔が浮かんで、ポケットから携帯を取り出した。櫂くんから通知がすでに来ていて、〝急用、大丈夫だったか〟〝じじいの、別に気にしなくて良いから〟の二文に、やり場のない黒い気持ちが静かに引いていく。



〝ありがとう〟


必要以上の言葉はつけず返したけど、何も知らないはずの櫂くんは何を考えながらあのメッセージをくれたのか気になって、次の文章を打ちかけた。




「…櫂くん」




滅多に体験しない状況に頭がおかしくなったのか、棘があってぶっきらぼうで、関わることはないと思って自分で拒否していたはずの櫂くんに、今は会いたい。


名前を呼んだら、声が聞きたくなってしまって、打ちかけた文章を消して通話を押した。




櫂「もしもし」




顔を合わせて話す時と全然違う、棘のない子どもをあやすような丸い声。優しすぎて気を抜いたら泣いてしまいそう。




「櫂くん…」


櫂「はいはい」




園田さんからも、集る女の人は苦手で、話しかけられても無視していると聞いていたし、ここで私が甘えるのも違う気がした。