こんな無責任な親、いる?それなら事前に相談して決めたかった。家賃なら送ってくれるお金の中から払うし、やっと慣れてきた大学生活を送りながら新しい家を探すなんて、負担が大きすぎる。
「…海外は、いつ行くの」
「明日よ」
「明日!?もっと早く言ってよ!」
アパートの契約も今日までらしく、家に何もないことに理解はできた。ただ、急展開すぎて次の言葉も出ない。
「明日の9時には出払っちゃうから。灯早の荷物はキャリーケースに入れてあるからね」
返事もせずリビングを出て、リビングの奥にある自分の部屋に入ると、同じように何もなくて入口にキャリーケース二つと、積み上がったダンボールがあるだけ。ダンボールには〝いらないものはゴミ袋に入れて明日ゴミ捨て場によろしく〟と書かれている。
夕方から明日の朝までに仕分けできるわけもなく、部屋の入口で呆然とする。
「急でごめんね」
「そう思うなら、せめて一ヶ月前から言ってよ。ダンボールのもの、特に思い入れないから、全部いらない」
後ろに立ったお母さんを避けるように部屋を出ると、腕を掴まれた。今にも泣きそうな表情をしていて、それはこっちの気持ちだと言いたくなる。
「…一緒に来る?」
「行かない。大学あるし。家はどうにかして見つけるし、気にしないで。あとキャリーケースだけ持ってくから、ダンボール処分しておいて」



