陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい



リビングに入ると、朝にはあったはずのソファもテレビもなく、フローリングに座ってコーヒーを優雅に飲む両親がいた。私に気づくと〝こっちに来て座って〟と手招きするお母さん。二人から漂う雰囲気だと、離婚はしなさそう。でも家には何もなく、嫌な予感しかしない。




「最近大学はどうだ。一ヶ月くらい経ったけど、馴染めてる?」


「うん。勉強は難しいけど、友達に教えてもらいながら何とかやってる」




お父さんは会うことが少ない分、何を話して良いか分からなくて会話が弾まない。お父さんもそれを感じ取ってか、私に話しかける時はいつも顔色を伺っているのが分かる。




「お父さんがこの時間に家にいるの、珍しいでしょ?」


「会社クビになったとかじゃないよね」




冗談で言ってみたは良いものの、両親の表情が固くなったのを見て、本当かもしれない不安が拭えない。




「え、やめてよ。本当にクビじゃないよね?」


「灯早。あんた、突拍子もないこと言わないで。クビなんかじゃないわよ」


「…じゃあ何」


「お父さん、長期で海外赴任することになったの」





クビじゃなかったと安心したのも束の間、海外という言葉に冷や汗が出た。




「お母さんは、お父さんがモテすぎて嫉妬しないように、ついて行こうと思うの」


「お父さんも、お母さんが隣に居てくれると、安心するからさ。灯早は、大学行き始めたばかりだろ。こっちでアパートでも探しなさい」


「…え、ちょっと待って。話が早すぎて、ついていけない。二人で行ってくれるのは別に良いけど、この家は住めないの?」


「長期だし、毎月家賃払うのもったいないから解約しちゃおうと思って」


「寮とかあるだろ。お金とか必要なものは送るから、探してくれるか」