「園田さん!」
園「…はいはいー。入ってきて良いよー!」
「ごめんなさい!急用が出来たので、今日は帰ります!」
園「あ、そうなの?灯早ちゃんに話があったんだけどね…」
「また明日来ても良いですか?せっかく呼んでもらったのに、ごめんなさい」
園田さんは分かりやすく凹んでいたけど、櫂くんがすかさず〝急用って言ってるだろ。帰らせてやれよ。〟と助け舟を出してくれた。
園「気をつけて帰って。明日、園田さん待ってるからね」
彼氏のお見送りみたいな、熱いお手振りをもらって園田さんの家をあとにした。櫂くん、また助けてくれたな。私が困らないように、帰りやすいようにそっとフォローしてくれた。
興味ない面倒くさいと言いながら助けてくれる。急に優しくされると、調子狂うんだよな。嬉しいけど。
急用とは言ったけど、お母さんの用事が何なのかは聞かなかったし、急いで帰るほどではないだろうけど、少し早足で家に向かう。
「ただいまー」
靴を脱ごうと下を向くと、いつもは置いていないお父さんの茶色の革靴があった。その横に綺麗に並んで置かれているお母さんの低めのヒール。早く帰ってきたら、旦那の浮気現場に遭遇したみたいな複雑な気分。
両親の靴の間に、つま先が黒く汚れた自分のスニーカーをねじ込んで、そこで靴を脱いだ。



