「ありがとね。心配してくれて」
櫂「心配っつうか、灯早は人が良すぎて見てると心配になる」
「そうかな?普通に話してるだけだけど」
櫂「悠馬にだって…、初対面であんな楽しそうな顔したら、そりゃあ心も許すだろ」
「悠馬さん?何で悠馬さんの話が出るの」
悠馬さんと話したのは、園田さん家にカステラを持って行った日だけ。ということは、あの時のやり取りを見ていたってこと。
櫂「いや、だって…。悠馬の笑顔、久しぶりに見たから」
「え。悠馬さんって、そんなに笑わない人なの?園田さんとも戯れてて、見てて楽しかったよ。てかどこで見てたの?盗み見?盗み聞き?」
全く櫂くんの存在はなかったから、どこからか見られていたことに引く。眉間に皺を寄せて分かりやすく櫂くんと距離を取る。
櫂「引くなよ。たまたま見えただけだし」
「でも見てたことに変わりはないじゃん」
櫂「そうだけど…。言いたかったのは、あいつに近づきすぎないほうが良いってこと。許嫁いるのに他の女に目をくらませてる場合じゃないし、向こうの親に見つかったら何言われるか」
「許嫁?」
櫂「そうだよ。あいつ、堅苦しい家系に入るんだよ」
許嫁。そんなの、もっとかけ離れた世界の人の話だと思ってた。しかも、悠馬さんの見た目がそんな人には見えない。真逆の、結婚には興味がないように見えた。



