そんなことない。花が好きな子は数えきれないほどいて、この花壇の花もきっと綺麗だと思ってると思う。言わないだけだよ。
おじさんは何かを思い出したように〝あっ〟と声を出すと、少し離れたところにあるカゴまで背中を丸めて小走り。にこやかな表情で戻ってくると、手には何かを握っていて私にそれを差し出してきた。
「花壇を褒めてくれたお礼。あと、君の名前も教えてくれるかな?」
両手で受け取ったおじさんからのお礼は、抹茶のような色の饅頭。〝おじさん臭くて申し訳ないね。それしか持ってなかった。〟と言うけど、私の大好物は抹茶。つまりドンピシャ。
「的井 灯早と言います。あと、抹茶大好きです!」
「そう?君は褒めるのが上手なんだね…」
「いやそんな…。おじさんは?」
「おじさんは、園田さんだよ」
「園田さん…。お饅頭、いただきます」
もらった抹茶の饅頭を大事に握りしめて、笑顔で自分の持ち場に帰っていく園田さんを見送ると、自分もベンチに座って解きかけた巾着袋からお弁当を取り出した。
大学での友達はこれからもできないかもしれないけど、園田さんという花で繋がる友達ができた。また色んな花の名前を教えてもらって、家でも植えてみようかな。
「いただきます」



