「ねぇ櫂、くん」
櫂「え、な、何」
「一つ聞いても良い?」
呼び捨てで呼ぶのは恥ずかしくて、くんを付けて呼んでみたけど、櫂くんは眉間に皺が寄っていて、返事が不機嫌に戻っていた。櫂くんの感情は読めない。
櫂「良いけど。変なこと聞くなよ」
「変なことかは、分かんない。櫂くんが女の人に素っ気ない理由、聞きたくて」
櫂「鬱陶しいだけ。灯早だって、一人にしてほしい時あるだろ」
「まぁ、あるかな」
善さんは女の人には常に囲まれていたいタイプのようだけど、正反対の二人が一緒にいる理由も気になる。
「じゃあ私は?機嫌悪いのはいつもだけど、私とは何で話してくれるの?」
機嫌が悪いことを、流して聞いてもらえると思ったけどちゃんと聞かれていて、〝おい、さらっと悪口言うなよ。〟と頭を小突かれた。
櫂「俺は昔から、善のフォロー役だったんだけど」
「フォロー?」
櫂「善って、どんな女にでも話しかけてるだろ?勘違いする女が多いから、現実を見せる役」
夢を見させないための、あえて正反対の冷たい櫂くん。そのフォローをする人の容姿も完璧なら、フォローになっていない気もするけど、櫂くんの性格なら必要以上に寄ってくる人はいないだろう。
櫂「でも灯早は、勘違いするどころか善にも俺にも引いてて。珍しいやつだなって気になったから、俺が化けの皮でも剥いでやろうと思って」



