面と向かって嫌いと言われていないけど、櫂さんの態度から嫌われていると勝手に思い込んでいた。玲奈に言われた、〝私は逆だと思うけどな〟。玲奈は多分、櫂さんが女の人と話しているのが珍しいと言いたいんだと思う。
でもいつも口が悪いけどたまに優しい人に、何も期待することはない。どうせなら私も無視してもらいたいくらい。ついでに善さんも引き連れて。
四時間半、授業を受けた後に人とのコミュニケーションのことで悩む脳のキャパシティは、もう持ち合わせていない。そもそも、人と関わってこなかった私には、難問だ。
「帰ろ!」
大学にいると、女の人の歓声で櫂さんと善さんの存在が嫌でも感じられて心身ともに疲れるので、帰ることにした。
櫂「おっ」
「え、何で一人なんですか?」
今日は珍しく誰も引き連れていない。ハーレムを作っているのは、どうやら善さんらしい。
櫂「うるさいから逃げてきた」
「熱烈なファンなら、追いかけてきますよ」
櫂「来たら追い払っといて」
「押し付けないでください。自分でやってよ…」
偶然通りかかっただけで、そのまま通り過ぎるのかと思いきや、私が座っていたベンチの隣に、少し空間を空けて座ってきた。
櫂「このあと用事は」
「何もないですけど…」
櫂「じゃあ家来い」



