玲奈の言葉は的確で、鋭い。他の女の人には話しかけられても無視するくせに、私が無視すると〝無視かよ〟とキレてくる。
まさか私を女だと思ってない?いや、人間だと思ってないとか?そんな被害妄想が広がり、視線を玲奈から櫂さんへうつす。黒板を見ていた櫂さんはすぐに私の視線に気づき、〝何〟とまた不機嫌に吐き捨てる。
「いや、何も」
櫂「何もないなら、こっち見んな」
そう言うと、黒板に視線を戻した。
「もしかしたら、人間と思われてないかも」
玲「え?何でそうなんの」
「そう思ってないから話せるんじゃない?扱いも雑だし」
玲「私は逆だと思うけどな…」
玲奈は櫂さんをちらっと見ると、その視線に気づかれる前に逸らし、うんうんと二回頷いて、先生の声に耳を傾けだした。
授業が終わり、このあと特に授業を取っていなかった私は、これから選択授業を受ける玲奈と別れた。まだ家に帰るには早すぎるし、花壇のあるベンチで時間を潰す。
「疲れた…」
自販機で買ったカフェオレを飲んでほっと一息ついたところで、授業中の玲奈との会話のことを思い出す。
初対面で邪魔と言われてから、櫂さんに対して小さな恐怖と若干の怒りはある。言葉には棘しかないし。でも時々見せる優しさに疑問を持つ。善さんに絡まれると必ず助けてくれるし、つまらない授業の時に寝ていることもバレていた。



