〝じゃあ、あとよろしくー〟
ベンチに座る私たちを置いて、手を上げて帰っていった先輩たち。他の同級生たちも付いていって、二次会に行こうとしている。
「善くん、二次会行かなくて良いの?」
善「僕は行かない。灯早ちゃんが迎えにきてくれたから、一緒に帰りたいし。櫂もこんなんだしね」
頬をつねっても叩いても、眠ったままの櫂くん。善くんも肩が重そう。もたれかかった肩が辛そうな善くんを見ていると、タクシーが目の前に止まった。
〝的井さんかな?〟
窓から顔を出した運転手さん。隣に座る櫂くんを見ると、〝大変だね…〟と苦笑いをして、タクシーに乗せるのを手伝ってくれた。
「櫂くん、帰るよ?」
櫂「ん…、灯早?」
肩を何度か強く叩いてようやく起きたかと思えば、寝ぼけ眼で私を見るなり、ふにゃっと笑いかけられた。普段こんな風に笑いかけられたことがないから、ドキッとする。
櫂「灯早だぁ」
「そうだよ。善くんが電話くれたの。ほら、行くよ」
クールな櫂くんとは正反対の、甘々な櫂くん。慣れない表情に、顔を見れなかった。歩けなさそうだったけど、担げるわけもなく、善くんと運転手さんが両肩をそれぞれ組んで車に乗せてくれる。
助手席に善くん、私と櫂くんで後部座席に乗り、タクシーは動き出した。私の肩に頭を預けたまま、規則正しい呼吸は聞こえるけど、起きているのかも分からない。相当酔っているのか、体全体からお酒のツンとした匂いがする。



