櫂くんの尻すぼみな声が、耳に直接響く。私だけが不安じゃなかった。私だって櫂くんを不安にさせていたんだ。自分のことで精一杯で、気づけなかった。私もちゃんと伝えないと。離れようと胸を押したけど離してくれなくて、〝何か言いたいなら、そのまま喋って〟と難題を押し付けられる。
仕方なく、身動きが取れないまま顔だけを上に向けて櫂くんと目を合わせる。櫂くんも私を見ていて、見下げられている。
櫂「どうぞ」
「櫂くんが好き、です」
櫂「うん」
「…不機嫌なくせに、構ってくれる優しいところとか、私が凹んでたり悩んでたらすぐに気づいてくれるところとか、ドライなのにちゃんと周りを観察してるところとか」
本人の前で気持ちを曝け出すなんて…と思っていたけど、話し始めたら止まらなくて櫂くんに手で制止される。
櫂「長いな」
「まだある。女の人が苦手って言いながら、私のこと好きになってくれたところ。あと、行動にはしてくれるけど、ちゃんと好きって言わなくて照れるところ」
櫂「もう分かった。良いから。こっちが恥ずいわ…」
上に向いていた顔を胸に収められて、後頭部をホールドされた。今度こそ完全に身動きができなくなる。
「不安だったの、私だけじゃなかったんだね。ごめんね」
櫂「まぁまぁ不安だったけど、もう良いよ。今灯早を独り占めできてるから」



