善「話せそう?それとも話したくない?」
「…また泣きそう」
自分が泣かせたかもと焦る善くんを制止して、頭を抱えて目に集中し、涙を堪える。一旦誕生日のことは忘れよう。
「さっき大学で、玲奈が櫂くんに告白してたの。多分付き合うことになったんだと思う」
善「なるほど…」
「もう無理…。推しのキスシーン見たくないのに、見ちゃった気分」
初めは優しく私に寄り添ってくれてたのに、声も聞こえなくなり、善くんを見れば私と同じように頭を抱えていた。
「善くん?」
善「まじで櫂のこと、殴っとくわ」
「別に殴らなくても良いんだけど」
でも善くんが櫂くんに怒って、殴っているのを想像すると、それだけで何だかスッキリした気がした。それでも気分は晴れないし、二人が付き合った事実は変わらない。
善「…じゃあ、僕とデートしない?」
「え、善くんと?」
善「気分転換。櫂のこと忘れて、僕とどっか出掛けようよ」
「櫂くんのこと…、忘れる」
忘れたいわけじゃない。失恋はしたかもしれないけど、自分に怒っている部分もあるし。でも善くんが誘ってくれたのは、今の凹んでいる私には最適解。
行きたい場所があるらしく、電車とバスを乗り継いで付いて行くと、全身を使ってゲームができる、アミューズメントパークに着いた。平日の夕方ということもあって、ほぼ貸切状態。
入り組んだクッションの中を走り抜けて、ゴールまでのタイムを競うゲーム、幾つものトランポリンを自由に移動できる広い空間。



