善くんのお母さんに会って四日後。週の半ば、なかなか来ない週末に焦がれて、授業もあまり聞けていない。善くんも変わらずハーレムと戯れているし、玲奈もその様子を微笑ましく後ろを振り返って見ていて、板書もしていない。授業をまともに聞いているのは、隣の席の櫂くんだけ。
櫂「灯早、寝るなって」
「睡眠の秋だから…」
櫂「バカ言っとけ。単位落とすぞ」
必要以上にこの長い授業を受け続けたくないので、椅子の裏を蹴られながらも何とか頭を上げる。先生の声が子守唄のように穏やかで、授業を受けている生徒に頭を上げられている人は少ないので、また便乗する。
もうそろそろ夢に入りそうな時、脇腹を突かれて飛び上がる。櫂くんを睨むと、それ以上に鋭い目で私を睨んでいたので、諦めてちゃんと授業に耳を傾けた。
櫂「それでよろしい」
「すみませんでした」
チャラそうに見えるし、ちゃんと授業を受けなさそうな人が一番成績が良い。見た目で判断しちゃいけないと思わされる。
そんな優秀な櫂くんを引き止めて、空きコマを挟む次の授業までに、授業を真剣に聞けるコツでも聞こうかと、冗談めいた雑談を持ちかけるために、机の上を整理して顔を上げる。
玲「ねぇ櫂くん。ちょっと良いかな」
櫂「何」
玲「ここじゃなくて、どっか外で」



