「…よしっ。ご飯食べよ!」
ご飯を食べて寝れば、少しは元気になるだろう。疲れた日は、無性にオムライスが食べたくなる。お腹も空いたし急いで作っていると、パジャマ姿の善くんが私の隣に立っていた。
「…うわっ。びっくりした」
善「オムライス?」
「うん。そうだよ」
フライパンからたちのぼる湯気を、浴びるまで顔を近づけて嗅ぐ善くん。〝良いにおい〟と、ケチャップライスに無邪気な笑顔を向けている。いつもの、ハーレムの中にいる笑顔の善くんに戻ってホッとしていると、その笑顔をそのまま私に向けてきて、〝僕も食べたい!〟と目をキュルンとさせている。不意打ちの至近距離の笑顔は、さすがに心臓に悪い。
「…うん。作るから待ってて」
善「やった!」
そう言って、フライパンと私から目を離さない善くん。見られていると、作りづらいんだけどな。
「座っててくれる?」
善「何で?」
「…やりづらい」
すると煽ってくるかのように、視界を遮って覗き込んでくる善くん。私の戸惑う表情を見て、楽しそうに笑っている。善くんの想像通りの反応をしてしまうのは悔しいけど、善くんが楽しいと思えるなら許せた。
「できたよ。食べよ」
善「ありがと!灯早ちゃんのオムライス、嬉しい」
頭の中の考えを、全部聞かせてもらえている素直さで、善くんの反応は受け止めやすい。二人で手を合わせて、スプーンを持ってオムライスに向かいかけた手を止めた。先に頬張ろうとウキウキ体を揺らしている善くんから、味の感想を伺う。



