陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい





善「僕と目が合うところに座っててほしいな。じゃないと、目のやり場に困る」


「だからって私ばっか見ないでね?」


善「ずっと見ちゃうかも(笑)」




善くんが学校の行き帰りに使っていた昔懐かしい道を二人で歩きながら、そんな笑い話で緊張を解しつつ、手紙で指定された喫茶店に着いた。




「善くんのあとに私も入るから」


善「うん」




虐待されていた相手に会って話すのは、簡単なことじゃない。善くんが手を震わせているのも見えている。それを隠そうとしているのも。顔が強張っているのも。




「善くん」




体の前で強く握っている両手に重ねて自分の手を置くと、目を見開いて勢いよく私を見る。




「怖いよね。会うのも、きっと簡単じゃないし」


善「…直前までは大丈夫だと思ってたんだけどね。手が震えてきちゃった」


「一人じゃないから」




私も一人じゃないって思えたら、安心したから。周りに大人はたくさんいるし、無理だと思ったら善くんにはまだ早かったと思えば良い。乗り越えるのには時間がいるから、押し付けるのは違う。





善「じゃあ、行ってくる」


「うん」




顔は強張ったままだったけど、カランコロンと扉の鈴を鳴らして入っていく善くんの背中は、シャンとしていた。どうか上手くまとまりますように。



私も数分遅れて入った。壁一面にレコードが飾られた純喫茶で、一枚板のテーブルに向かい合うように置かれたえんじ色のモコモコソファ。人は疎で、ジャズ曲が遠くで聞こえる。



〝お好きな席にどうぞ〟