他人の恋だから面白いと笑われ、悠馬さんに言われると怒れない私は、一緒に笑う。別れ際の寂しそうな、引き止めて欲しそうな、暗い顔はどこにもない。
悠「いつかは素直に言えそうなの?」
「言える自信がないんです。言ったら、何かが変わってしまうそうで」
悠「櫂との関係とか?」
「はい…」
直接的な言葉をもらっていないにしても、お互いに確信はある状態。私が言った一言で関係が変わることはないかもしれないけど、女性に集られることを苦手としている櫂くんに、嫉妬と簡単に言えない。
悠「そんなの、櫂なら受け止めてくれるよ。灯早ちゃんなら何言っても大丈夫」
「そこまで?」
悠「櫂の想いは、案外重いと思う。顔には出さないし言葉にもしないけどね。ほら。そんな話をしてたら、主役の登場だよ」
門に顔を向けると、すぐさまバチンと目が合った。不機嫌な眉間に、今にも文句が出てきそうな口。隣の悠馬さんを見て一瞬綻んだかと思ったけど、またすぐに不機嫌に戻った。
櫂「悠馬じゃん。灯早を取りに来たんなら、お断り。渡さんから」
悠「違うよ。里帰り」
〝ね?重いでしょ?〟と私に聞く悠馬さん。渡さないとか言われると、ちょっとこちらが気まずい。目の前で私の取り合いみたいな、顔が真っ赤になることをされると、櫂くんを見れなくなる。



