「大事な話、してくれてありがとう」
善「ううん。お母さんが逮捕された時も、刑務所に入ってからも、お父さんをお母さんが殺したって現実が受け入れられなくて。今でも信じたくないんだけど…、そろそろ向き合わなきゃと思ってて」
テーブルに置いていた食べ終わったお弁当を横に捌けさせて、仕切り直すように椅子に深く座り直す善くん。私も姿勢を正して身構えた。
善「相談があるって話に戻るんだけど。お母さん、刑期が終わって来週出所するらしいんだ。夏休みにばあちゃん家に帰った時、教えてもらったんだけど」
「そうなんだ…」
善「会ってみたいと思ってる」
「お母さんに?会っても大丈夫なの?」
昔の話とはいえ、虐待を受けていた事実がなくなるわけではない。会ってフラッシュバックするかもしれないし、お母さんが善くんを受け入れない可能性だってある。
私が止めるのも違うけど、善くんが話しながらテーブルの下でずっと拳を握っているのが見えているから、お母さんへの恐怖心が消えていないのは伝わってくる。
善「一応許可はいるみたい。昔の叩かれて暴言を吐かれた記憶があって、僕自身もまだ怖いんだ。お母さんも今さら僕の顔は見たくないかもしれないし、会えたとしても普通に話せないかもしれない」
「…でも会ってみたいって思ってるんだよね?」
善「何であの時、あんなことをしたのか。僕のこと、嫌いだったのか。答え合わせじゃないけど、聞いてみたい。灯早ちゃんは、どう思う?会わない方が良いかな」



