「どこが痛い?」
「僕じゃない!お父さんが!刺されたんだ!」
扉を真っ赤に染めた大家さんの家に上がり、体が赤かったお父さんを思い出して、リビングの隅で三角座りをする。恐怖を抑え込むように縮こまるけど、震えは止まらない。
「善ちゃん。今お巡りさん呼んだから。おばあちゃんがついてるから大丈夫」
「うん…」
遠くでサイレンの音が聞こえて耳を塞ぐと、大家さんが三角座りをする僕の背中を撫でてくれた。
「お巡りさんに色々聞かれると思うけど、おばあちゃんが隣にいるから。見たままのこと、ちゃんと言えそう?」
警察が着いてからも、僕にぴったりくっ付いてくれていて、お父さんは救急車に、お母さんはパトカーに乗せられていった。本当に色々と聞かれたけど、お父さんが刺されたところは見ていなくて。結局お母さんがお父さんを刺して殺したと話したらしく、逮捕されて刑務所に入った。
僕にとっては、お母さんは温かい存在ではなく、恐怖を植え付けただけの怪物。僕は絶対にお母さんみたいにはならないと誓って、今も自分の過去は隠している。
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善「彼女を作らないのは、僕なりの生き残り方だって言ったの覚えてる?」
「うん。寂しそうだったけどね」
善「あれは…、強がってたのかもね。お母さんみたいに手をあげちゃうかもって思ったら、誰か特定の人を作るより、大人数で楽しく盛り上がってる方が自分を隠せる気がして」
優しくて面白い善くんの過去が、こんなにも暗いとは思わなかった。善くんから真剣な話を聞くと、いつもふざけているからか、何だか気が引き締まる。



