「ごめんなさい!すぐ出ます!」
掃除の人だと思い、急いで片付けて扉の方を見て、足を止めた。今一番顔を見たくない人に騙された。
櫂「お迎えにあがりましたけど」
「お迎えは頼んでないです」
出口は櫂くんが立っている扉しかなくて、通りたくないけど通るしかない。どうか朝のことを問い詰められませんように。強く願って櫂くんの横を通り過ぎようとしたけど、強く願いすぎて伝わってしまったみたい。
櫂「逃げんなよ」
扉が破裂音をあげて、道を塞がれた。目の前には、櫂くんの腕が伸びている。
櫂「俺、何かした?」
「…何も」
櫂「理由もなく俺を避けるなんて、あるわけないよな?じゃあ何で避けてんの?」
じりじりと迫られて、怖気付いた。逃げようと腕の下をくぐりかけて、腕を掴まれると背中を扉に押しつけられる。今度こそ逃げられなくなった。
「ちょっ…と!」
櫂「だから、何で逃げんのって」
「櫂くん…、誰か来ちゃうから」
櫂「誰も来ないよ、こんなとこ。俺が先に出たから拗ねてるとか?」
顔の両サイドには櫂くんの腕。目の前には私をキッと睨む鋭い目。扉と櫂くんに挟まれて、動けない。
「そんなんじゃない…」
櫂「じゃあ何」
答えがなかなか聞けなくて苛立つ櫂くん。こっちだって早く解放してほしい。だからといって、理由は言いたくない。
「別に、嫌いになったとかじゃないから。安心して」
早く善くんを探しに行きたいのに。ハーレムに捕まっちゃう。ご飯に誘えない。下唇を噛んで、この状況が一刻も早く終わることを願った。



