先生が教室に入ってきて、ざわめきが少なくなった頃、櫂くんと玲奈が一緒に教室に入ってきた。前の席のハーレムたちは、そんな二人を見て、〝あの二人、付き合ってるのかな?え、でも櫂くんはツンデレだから。誰かと付き合うとかもしない人でしょ?〟とありもしない噂をする。いや、ありもしないと思っているのは、私だけかもしれない。
玲「灯早おはよ!朝は大丈夫だった?」
「おはよう。ごめんね、呼ばれちゃって」
櫂「誰にも呼ばれるようなこと、してないだろ」
「アパート借りる契約した時に、渡し忘れた書類があるからって呼ばれたの」
櫂「ふーん」
多分嘘ってバレてる。櫂くんの返事が私を怪しむような返事だったし、いつも前に座るのに、様子を伺うように後ろの席に座って、規則正しいリズムで椅子を蹴ってくる。
玲奈は玲奈で、〝今日、善くん珍しく離れて座ってるんだね。〟と気まずい一言。
「何でだろうね」
とぼけて返したけど、何も知らなかったらそう思うのは当然。また椅子を蹴られて、〝何〟と後ろを振り返ると、〝別に〟とはぐらかされた。
あっちもこっちも、今日は何なんだ。授業にいつも以上に集中できなくて、私以外に他の三人が誰も取っていない授業になって、ようやく先生の話が耳に入ってきた。ハーレムは数人いるけど、時々睨みの効いた視線を感じるだけで、特に何かしてくるわけでもない、平和な一時間半だった。
二限が終われば、お昼休憩。善くんを見つけて、どうにか話をしたい。善くんの二限は確か空きコマだったはず。先生も生徒もいなくなった教室で、善くんのいそうな場所を考えていると、開いた扉をコンコンと誰かが叩いた。



