この人なら友達になれるかも。あの人なら話しかけても嫌な顔はしなさそう。そう目星をつけていた人たちは、全員別の人に取られてしまい、大学入学早々友達作りに出遅れてしまった。
首を折って下を向く、的井灯早。早速できた友達と趣味の共有をして、盛り上がる人たちの声が耳に入って、虚しくてため息を吐いて拳を握る。高校で友達ができなかった同じ失敗を繰り返さないように、周りを見すぎたのかもしれない。一度している失敗は、簡単には克服できないらしい。
階段状の大きな教室の後ろに座っていた私は、前の席でやけに騒がしい十人ほどの集団を一瞥して、席を立った。
明日の二限目に、この教室で一週間の受ける授業の組み立てをしないといけない。必須の授業もあれば興味のある授業を取っても良い、大学独自の自由な学習方法で、授業数も多い。この後の授業はないし、図書室にでもこもって吟味すれば良い。
でもまずは腹ごしらえをしないと。大学内には噴水があって、それを囲むように半円のベンチが置かれている。晴れた日にここでお弁当を食べると美味しさが増すだろう。ここに友達もいればさらに…。そこまで考えて、目が覚めた。妄想はダメだ。自分のHPが減るだけ。
お昼時ということもあってか、近くにあるベンチには座っている人が多く、空いていた端の席にちょこんと腰掛ける。巾着の紐を解きかけて、私が座ったすぐ隣にある花に目が止まった。
メジャーなチューリップから季節ものの勿忘草まで、家では植えられないような豊富な種類の花が植えられている。花壇に近づくと、甘い匂いのする花もあれば、花びらがグラデーションになったものもあり、高校で美化委員をしていた私としては、見慣れた景色なはずなのに、高校の時には出会わなかった花ばかりが植えられている風景に、思わず笑みがこぼれる。



