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シリウスが魔石鉱山に到着したのと、討伐隊が鉱山から出てきたのはほぼ同時だった。
早くマリアに会いたい一心で、サミュエルとともに早馬で駆けてきた。
シリウスは馬を労った後、討伐隊に近づいていく。
印象的なプラチナブロンドに、意志の強そうな琥珀色の目。
アドラ王国所属である証の濃紺の騎士服を着た姿は実に堂々として精悍で、同性であっても惚れ惚れするほどの存在感を放っている。
にもかかわらず誰も彼に見覚えがなく、隊員たちが怪訝そうな顔をする。
「騎士団にあんなヤツいたか?」
「どうして第三王子の近衛がここに」
「援軍が来たのかと思ったら、たったのふたりなのか……?」
戸惑いの声が広がる中、隊長が慌てた様子でシリウスに駆け寄った。
「どうぞこちらへ」
隊長は騎士団の要職に就いており、部隊の中で唯一シリウスの呪いについて知っている人物だ。ライアスからの魔法書簡で、シリウスが解呪しこちらへ向かっていることも知っていた。
「シリウス殿下、解呪おめでとうございます」
案内したテントに入るなり、隊長は跪いて最敬礼をする。
「俺はもうなんの地位もない過去の存在だ。堅苦しい挨拶はいらない」
シリウスは苦笑してテント内をぐるりと見渡した。すぐにでもマリアに会えると思っていたのに、どこにもいない。
「そんなことより、マリアは?」
隊長が立ち上がる。
「それが……」
シリウスは、隊長が言い淀む様子に嫌な予感を覚えて拳を握った。
隊長が目を伏せながら静かに告げる。
「本日の作業中、マリア様は縦穴に落下しました。下から声が聞こえたと言っている隊員もいますが、安否確認は取れておりません」
予感が的中したことに、シリウスは無言で瞑目する。
隊長は報告を続ける。
「ユザックという隊員が故意にマリア様を落としました。いまは拘束しております。さるお方からの密命だったようです」
密命とは、マリアが火薬を見つけてこっそり私物化しないよう見張ること。
さらには、二度とアドラに戻ってこないよう画策できれば尚よしという内容だったという。
ユザックはそれを、遠回しに殺せと言われたと解釈したらしい。
彼の兄は戦死しており、エルゼアに深い恨みを持っているため、マリアを縦穴に落としたことに微塵のためらいも反省もない。むしろ誇らしげに洗いざらい白状したようだ。
その報告を聞く間、シリウスは眉間に深いしわを刻みながら目を閉じ、怒りを押し殺すように拳を震わせていた。
シリウスが魔石鉱山に到着したのと、討伐隊が鉱山から出てきたのはほぼ同時だった。
早くマリアに会いたい一心で、サミュエルとともに早馬で駆けてきた。
シリウスは馬を労った後、討伐隊に近づいていく。
印象的なプラチナブロンドに、意志の強そうな琥珀色の目。
アドラ王国所属である証の濃紺の騎士服を着た姿は実に堂々として精悍で、同性であっても惚れ惚れするほどの存在感を放っている。
にもかかわらず誰も彼に見覚えがなく、隊員たちが怪訝そうな顔をする。
「騎士団にあんなヤツいたか?」
「どうして第三王子の近衛がここに」
「援軍が来たのかと思ったら、たったのふたりなのか……?」
戸惑いの声が広がる中、隊長が慌てた様子でシリウスに駆け寄った。
「どうぞこちらへ」
隊長は騎士団の要職に就いており、部隊の中で唯一シリウスの呪いについて知っている人物だ。ライアスからの魔法書簡で、シリウスが解呪しこちらへ向かっていることも知っていた。
「シリウス殿下、解呪おめでとうございます」
案内したテントに入るなり、隊長は跪いて最敬礼をする。
「俺はもうなんの地位もない過去の存在だ。堅苦しい挨拶はいらない」
シリウスは苦笑してテント内をぐるりと見渡した。すぐにでもマリアに会えると思っていたのに、どこにもいない。
「そんなことより、マリアは?」
隊長が立ち上がる。
「それが……」
シリウスは、隊長が言い淀む様子に嫌な予感を覚えて拳を握った。
隊長が目を伏せながら静かに告げる。
「本日の作業中、マリア様は縦穴に落下しました。下から声が聞こえたと言っている隊員もいますが、安否確認は取れておりません」
予感が的中したことに、シリウスは無言で瞑目する。
隊長は報告を続ける。
「ユザックという隊員が故意にマリア様を落としました。いまは拘束しております。さるお方からの密命だったようです」
密命とは、マリアが火薬を見つけてこっそり私物化しないよう見張ること。
さらには、二度とアドラに戻ってこないよう画策できれば尚よしという内容だったという。
ユザックはそれを、遠回しに殺せと言われたと解釈したらしい。
彼の兄は戦死しており、エルゼアに深い恨みを持っているため、マリアを縦穴に落としたことに微塵のためらいも反省もない。むしろ誇らしげに洗いざらい白状したようだ。
その報告を聞く間、シリウスは眉間に深いしわを刻みながら目を閉じ、怒りを押し殺すように拳を震わせていた。



