「はぁっ!?」
この子はなにを言っているんだろうか。
和平の象徴として、敵国のお姫様と婚約するのならまだわかる。
でも、わたしを婚約者にする理由がわからない。
シリウスの隣に座る髭面騎士もぎょっとした顔をしている。目が合うと、わずかに首を横に振った。
断れってことね? オーケー、わかったわ。
「お断りします!」
「なにか勘違いしているようだが、マリアに拒否権はない」
勘違いしているのはそっちよ!と、一丁前に腕組みしているシリウスに言ってやりたい。
「わたしは捕虜だから拒否権がないのはわかっているけど……」
するとシリウスは、ムッと唇を尖らせた。
「そんな扱いをするつもりはない。婚約者として扱うから安心しろ」
まだ声変わりもしていない甲高い声で言われても、説得力は皆無だ。
シリウスの意向はそうであっても、幼い王子のわがままだと一笑に付されるだけだろう。
気に入ったからという動機で済む話ではない。
万が一、敵国の悪女に操られていると思われたら、わたしまで巻き込まれるではないか。冗談じゃない。
この王子を諫めてよ!と、抗議の視線を髭面騎士に送ると、彼は遠い目であらぬ方向を見つめている。
おそらくシリウスは、言い出したら聞かないタイプなのだろう。
わたしまで遠い目をしたい気分になる。
「サミュエルばかり見るな」
アイコンタクトがバレてシリウスに叱られる始末。
髭面騎士はどうやらサミュエルという名前らしい。
「シリウス様は、おいくつです?」
「いまは十一歳だ」
まだ声変わりもしていない子どもだ。アドラの法律はよく知らないが、婚約者を選定する権限すらないにちがいない。
「わたし、あなたよりも六つ年上よ?」
「それがどうした。俺はマリアよりも随分年上だ」
どんな計算をすればそうなるの……?
戸惑いながらサミュエルを見やると、彼は眉間にしわを寄せて目を瞑っている。
その態度は職務放棄ではないのか。
わたしは心の中で、やれやれと嘆息したのだった。
この子はなにを言っているんだろうか。
和平の象徴として、敵国のお姫様と婚約するのならまだわかる。
でも、わたしを婚約者にする理由がわからない。
シリウスの隣に座る髭面騎士もぎょっとした顔をしている。目が合うと、わずかに首を横に振った。
断れってことね? オーケー、わかったわ。
「お断りします!」
「なにか勘違いしているようだが、マリアに拒否権はない」
勘違いしているのはそっちよ!と、一丁前に腕組みしているシリウスに言ってやりたい。
「わたしは捕虜だから拒否権がないのはわかっているけど……」
するとシリウスは、ムッと唇を尖らせた。
「そんな扱いをするつもりはない。婚約者として扱うから安心しろ」
まだ声変わりもしていない甲高い声で言われても、説得力は皆無だ。
シリウスの意向はそうであっても、幼い王子のわがままだと一笑に付されるだけだろう。
気に入ったからという動機で済む話ではない。
万が一、敵国の悪女に操られていると思われたら、わたしまで巻き込まれるではないか。冗談じゃない。
この王子を諫めてよ!と、抗議の視線を髭面騎士に送ると、彼は遠い目であらぬ方向を見つめている。
おそらくシリウスは、言い出したら聞かないタイプなのだろう。
わたしまで遠い目をしたい気分になる。
「サミュエルばかり見るな」
アイコンタクトがバレてシリウスに叱られる始末。
髭面騎士はどうやらサミュエルという名前らしい。
「シリウス様は、おいくつです?」
「いまは十一歳だ」
まだ声変わりもしていない子どもだ。アドラの法律はよく知らないが、婚約者を選定する権限すらないにちがいない。
「わたし、あなたよりも六つ年上よ?」
「それがどうした。俺はマリアよりも随分年上だ」
どんな計算をすればそうなるの……?
戸惑いながらサミュエルを見やると、彼は眉間にしわを寄せて目を瞑っている。
その態度は職務放棄ではないのか。
わたしは心の中で、やれやれと嘆息したのだった。



