初恋は、終電の先に

 翌朝出社すると、始業前にエンジニアの人たちが営業部にやってきた。

 打ち合わせのたびに罵倒されていたから、つい身構えたら、気まずそうな顔で頭を下げられた。

 私の隣で磯山先輩も怪訝そうに様子を見ている。


「あの……?」

「すまなかった。八つ当たりだった」

「はい?」


 何かと思ったら、金曜日の夜中に居酒屋で、私が山田先輩相手に愚痴っていたのを聞かれていたらしい。

 マジですか。あの、言いたい放題を聞かれていたのか……。

 私は取り繕うのが間に合わず、顔を思いっきり引きつらせてしまった。


「お恥ずかしいところをお見せしまして……」

「いや、こちらこそ。仕事だから秋谷さんは話を聞いてくれていたのに、先方にあれこれ言われて、こちらも頭に血が上ってしまっていて……」


 エンジニアの人たちは頭を下げて去っていった。

 隣では磯山先輩が肩を震わせて笑っている。

 まあ、いいか。

 お恥ずかしくはあるけれど。

 私はスマホスタンドに私用のスマホを立てかけて、山田先輩の顔を映しながら仕事を始めた。