営業部に戻ると、磯山先輩も電話をしていた。
私は音を立てないように気をつけて、自分の席に戻った。
「明日も出社だけど、さすがに終電までにはね。えー、さすがに悪いだろ。……そりゃ、会えたら嬉しいけどさ。……そう? んー……わかった。じゃあ、終わったら連絡する。うん、ありがとね、じゃあ」
私は何も聞いていない。
電話の向こうの花沢さんの、意外と優しそうな心配の声なんて、聞いていない!!
「秋谷?」
スマホを机に置く音と同時に、磯山先輩の、いつもより低くかすれた、休憩前よりはだいぶ元気そうな声が聞こえた。
「はい、磯山先輩」
私はできるだけ明るい声で、でも顔を上げずに答えた。
「お前は何も聞いていないな?」
「はい、聞いていません。ところで明日の昼はイクラ丼が食べたいですね、磯山先輩」
「この野郎……大盛りまでにしとけよ、あの店高えんだから」
「了解です。今月の季節のデザートはモンブランらしいですよ」
「好きにしろよ。その分働いてくれ」
磯山先輩は笑ってパソコンを叩き始めた。
さて、もうちょっと頑張ろう。
明日のイクラとモンブラン、それから山田先輩とのデートのために。
私は音を立てないように気をつけて、自分の席に戻った。
「明日も出社だけど、さすがに終電までにはね。えー、さすがに悪いだろ。……そりゃ、会えたら嬉しいけどさ。……そう? んー……わかった。じゃあ、終わったら連絡する。うん、ありがとね、じゃあ」
私は何も聞いていない。
電話の向こうの花沢さんの、意外と優しそうな心配の声なんて、聞いていない!!
「秋谷?」
スマホを机に置く音と同時に、磯山先輩の、いつもより低くかすれた、休憩前よりはだいぶ元気そうな声が聞こえた。
「はい、磯山先輩」
私はできるだけ明るい声で、でも顔を上げずに答えた。
「お前は何も聞いていないな?」
「はい、聞いていません。ところで明日の昼はイクラ丼が食べたいですね、磯山先輩」
「この野郎……大盛りまでにしとけよ、あの店高えんだから」
「了解です。今月の季節のデザートはモンブランらしいですよ」
「好きにしろよ。その分働いてくれ」
磯山先輩は笑ってパソコンを叩き始めた。
さて、もうちょっと頑張ろう。
明日のイクラとモンブラン、それから山田先輩とのデートのために。



