数日後、客先で打ち合わせを終えたあと、先方のまとめ役に呼び止められた。
「よかったら皆さんで使ってください」
そう言って渡されたのはビアガーデンのチケットだった。そういえば、前に秋谷が行こうって言ってたっけ。
「いやー、親会社から支給されたんですけど枚数が多くて消費しきれなくて。利用率を確認しているらしいので、使ってもらえると助かります」
うちのリーダーが笑顔で受け取って、一緒に頭を下げた。
客先のビルを出ると、一緒にいた花沢さんが手元のチケットを覗きこんだ。
「わ、本当に短い。今月いっぱいじゃない」
「あと一週間ちょいで飲み会開くってのはキツイな……山田、いるんならあげるよ。花沢さんでもいいけど」
「いいんですか? ありがたくいただきます」
秋谷と行こう。そう考えて、受け取ったチケットの裏側を確認しようとしたら、花沢さんが首をかしげた。
「え、でも山田くん、お酒強くないんだよね?」
花沢さんが、不思議そうに俺を見ていた。
「俺はね。でも、こういうのが好きな子がいるから」
「えー、でもさ」
花沢さんがにこりと微笑んだ。
「飲めないのに、飲む子とマンツーきつくない? 互いにさ。だから私も一緒に行くよ。相手にももう一人連れてきてもらえばいいじゃん」
普通に嫌だ。
なんで好きな子との時間に、他の人間を混ぜなきゃいけないんだ。
……っていうのが、思いっきり顔に出ていたらしい。
リーダーが苦笑して、「まあまあ」と割って入った。
「せっかくだし、これからも長い付き合いになるんだしさ。君たち同世代だろ? 一緒に飲みに行ってもいいんじゃないか?」
「よろしくね、山田くん」
「……わかりました」
転職したばかりなのに、もう辞めたくなってきた。
***
「よかったら皆さんで使ってください」
そう言って渡されたのはビアガーデンのチケットだった。そういえば、前に秋谷が行こうって言ってたっけ。
「いやー、親会社から支給されたんですけど枚数が多くて消費しきれなくて。利用率を確認しているらしいので、使ってもらえると助かります」
うちのリーダーが笑顔で受け取って、一緒に頭を下げた。
客先のビルを出ると、一緒にいた花沢さんが手元のチケットを覗きこんだ。
「わ、本当に短い。今月いっぱいじゃない」
「あと一週間ちょいで飲み会開くってのはキツイな……山田、いるんならあげるよ。花沢さんでもいいけど」
「いいんですか? ありがたくいただきます」
秋谷と行こう。そう考えて、受け取ったチケットの裏側を確認しようとしたら、花沢さんが首をかしげた。
「え、でも山田くん、お酒強くないんだよね?」
花沢さんが、不思議そうに俺を見ていた。
「俺はね。でも、こういうのが好きな子がいるから」
「えー、でもさ」
花沢さんがにこりと微笑んだ。
「飲めないのに、飲む子とマンツーきつくない? 互いにさ。だから私も一緒に行くよ。相手にももう一人連れてきてもらえばいいじゃん」
普通に嫌だ。
なんで好きな子との時間に、他の人間を混ぜなきゃいけないんだ。
……っていうのが、思いっきり顔に出ていたらしい。
リーダーが苦笑して、「まあまあ」と割って入った。
「せっかくだし、これからも長い付き合いになるんだしさ。君たち同世代だろ? 一緒に飲みに行ってもいいんじゃないか?」
「よろしくね、山田くん」
「……わかりました」
転職したばかりなのに、もう辞めたくなってきた。
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