初恋は、終電の先に

「優秀な同僚が俺の溢れ返った仕事を助けてくれるようになったから、前よりはこうやって秋谷とごはんに行きやすくなったんだよ」

「……はい?」

「前に行けなかった、焼き魚の店も行こう。あと夜パフェ行きたい」


 先輩は私がポカンとしているのにも構わず、スマホでおしゃれなパフェがずらりと並ぶ写真を見せてきた。

 そうか。

 先輩は優秀な同僚が入ってきたぶん、その空いた時間を私にくれるのか……。


「先輩」

「うん?」

「このピスタチオとチョコのパフェを半分こしたいです」

「そうしよう」


 テーブルに追加の焼き鳥が運ばれてきた。

 ぼんじりと皮と砂肝が塩とタレで二本ずつ、柚子胡椒が添えられた皿。あと、先輩が頼んだらしい春菊やアスパラガスの豚バラ巻きに、椎茸やエリンギ。いや、多いでしょ。


「今の俺はそんなにダメじゃないから、秋谷は酒飲んでぐだぐだ甘えてくれていいよ」


 見上げた先輩は、ビール一杯で目尻を赤くして、蕩けそうな笑顔を私に向けていた。


『彼女って感じじゃないなって思ったんだ』


 さっきのセリフが頭に浮かぶ。

 そうかもしれないけど、そうじゃなかったとしても、この先輩の顔は私だけのものだし、あんなクソマウントごときにめげる私じゃない。

 こちとら、片思いを十年も拗らせているのだから。