初恋は、終電の先に

 翌日の昼過ぎ、私は自分の部屋で腕まくりをした。


「っしゃー、やるぞー!!」


 いざ、衣替え!


 とはいえ、衣装ケースの上下を入れ替えるだけだ。

 クローゼットには引き出しタイプの衣装ケースが積んであり、冬服と夏服でケースを分けてあるから、季節ごとに使う方を上の段に移動するだけで済む。

 靴下や下着は手前と奥で厚手と薄手を分けてあるから、それを入れ替えればおしまいだ。

 始めて三十分で終わってしまった……。


「午前中に掃除も洗濯も済ませたしなあ」


 山田先輩にみっともないところを見せたくない。その一心で、私はちゃんとした生活を維持している。



 暇になったから買い物に出た。明日の昼までの食べ物を買い、帰る途中でひこうき雲を見つけて写真を撮った。

 先輩に送ろうか悩みながら歩いていると、スマホが震えた。


『衣替え終わった』


 先輩だ。

 ここぞとばかりに、ひこうき雲の写真を送った。


「お疲れ様です。私も衣替え終わって買い物してました」

『明日、空いてる?』

「空いてます」


 送られてきた文字を見た瞬間、そう送り返していた。スマホの向こうで、先輩が苦笑している顔が見える気がした。


『じゃあ、どっか行こう』


 先輩からもすぐに返事が来た。

 口元がたまらず緩む。

 部屋に戻って片付けながら、明日着ていく服は夏物にしようと考えた。