並んで歩くなら、あなたと

 私はわりと油断していた。

 ゴールデンウィークは世菜先輩とのんびり裏門の世話だけをしていればよかったから、夏休みもそうなんだろうなと思っていた。
 全然、そんなことはなかった。


 数日後、試験結果が全部返されて、学年で十五位だった。

 藤也に言われた順位よりは低いけど、入学時点より二十位以上順位が上がってるなら十分でしょ。

 なんて満足していたら、担任の先生がパシパシと手を叩いた。


「続いて夏休み中の課題の説明をする。まず一覧を配るから回して」


 前の席から回ってきたプリントを見て、私は固まった。

 なに、これ。

 桃も目を見開いて固まっているし、他のクラスメイトも押し黙るか、小さく悲鳴を上げるかしていた。

 担任の先生はいい笑顔でプリントの説明を始めた。


「毎年一年生はほぼ全員同じ反応をしてくれるので、先生は満足です。見ての通り、山のように、山のごとく宿題があるから、各自計画的に進めるように。それぞれの細かい内容は、各教科の先生から説明があるから」


 マジか。

 え、マジか?

 座学は全科目ワークかプリントがあって、さらに実技も含めて、全科目レポートがある。

 私、夏の間は家の手伝いと部活で手一杯なんだけど、これいつやるの……?



 部活の方も大変だった。

 毎日、担当箇所の水やりと、人手が薄くなる箇所の水やりの手伝いと、週一で草むしりがあって、お盆明けからは秋の植え替えに向けて花壇の手入れもある。


「頑張ってくれ。俺も基本的には毎日来るから。あー、お盆前後は無理だから、かわりに桔花と蓮乃寄越すから」


 と、藤也は言った。

 藤也がお盆前後に来られないのは、仕方がない。

 花屋は仏花の用意で、七月の時点でとても忙しい。

 パパが毎日汗だくで、菊やスターチス、カスミソウを出荷していた。

 私と柚希も休みに入ったら手伝いをする予定だけど、それでも人手が足りないから、夏期の短期バイトを雇って対応しているくらいだ。


「……いつ、宿題すればいいの?」


 思わずつぶやいたら、世菜先輩が吹き出した。


「うちの学校、長期休みの宿題多いよな。一緒にやろうか」

「お願いします……!」

「じゃあ、あとで予定立てよう。一日二日じゃ終わらないだろ」

「初めて、世菜先輩がすごーく頼もしく見えます」

「頼ってくれていいよ。一緒に頑張ろう」


 柔らかく笑う先輩と並んで、裏門に向かった。

 今日は水やりをしたら、それぞれ違う場所へ応援に行かないといけない。

 だから宿題の予定を立てるのは帰るときかな。