並んで歩くなら、あなたと

 七月前半の部活は、毎日そんな感じだった。

 特に二年生は、三年生がいるうちに教わっておきたいと、毎日あれこれ聞いていた。

 七月も半分を過ぎると、試験前の部活禁止期間に入る。

 そうなったら、放課後は教室に残って桃と勉強したり、桔花と蓮乃が来て問題を出し合ったりした。


「なんか私まで頭が良くなった気がする」


 桃はそう言って、勉強に付き合ってくれた。

 さすがに試験前だから、バイトは休みらしい。


「花菜は王子と勉強しなくていいの?」

「王子?」「世菜先輩?」


 双子が食いついて三人が盛り上がっていたけど、私は無視して勉強を続けた。

 世菜先輩とも勉強はしている。

 夜にビデオ電話をつないで一緒に勉強してるけど、それを言うと


「彼氏じゃん」


 って騒がれるから黙っていた。

 まあ、双子は柚希から聞いて知ってるかもだけど、自分たちからバラす気はなさそうだからよかった。


「花菜ちゃんに会えないと寂しいので声だけでも聞かせて下さい。あわよくばビデオ通話にして顔も見せてください」


 ――部活禁止期間二日目の夜に、そんな情けないメッセージが世菜先輩から来たのだ。

 たしかに部活はなかったけど(その間の水やりは用務員さんと教頭先生がやってくれる)、昼休みに図書室で藤也に教わってるときに先輩も横にいたんだけどね?

 それを言うとメソメソしそうだから、さっさとビデオ電話のボタンを押した。

 一瞬で、スマホの画面に先輩が映る。


「こんばんは、花菜ちゃん」

「こんばんは。世菜先輩、今何してました?」

「数学。花菜ちゃんは?」

「私も数学やってました。あの、たすきがけの問題の解き方を確認させてください」

「もちろん」


 先輩はふにゃっと笑って嬉しそうに、教えてくれた。

 その後はとくに喋らないでそれぞれ勉強する。

 なんか意味あんのかなって感じだけど、たまに画面を見ると先輩が嬉しそうにしていてかわいいから、悪くはなかった。

 そんな感じで一週間、放課後は桃、桔花、蓮乃と、夜は先輩と勉強をして、期末試験を迎えた。