並んで歩くなら、あなたと

 週明けの朝、水やりのときに花を渡したら、受け取った世菜先輩は顔をくしゃっとさせてうつむいてしまった。


「え、どしたの。大丈夫?」

「だめ」

「ダメなんですか?」

「うん……嬉しすぎて心臓が破裂する」

「そんなに……。うちの出荷できない花を、もらってきただけなんですけど」


 先輩は花を抱えたまま、小さく首を横に振った。


「だけ、じゃないよ。花菜ちゃんが俺のために持ってきてくれたものだから、すごく嬉しい。どうしよう。どうやって取っておけばいいんだろう。そうだ、写真撮らせて」


 花を私に持たせて、先輩はスマホで何枚か写真を撮った。

 それを見て、満足そうに頷いている。


「待ち受けにしよう」

「や、やめて! 恥ずかしいから!」

「俺しか見ないよ」

「そうかもだけど……!」


 花を返すと、先輩は目を細めて私を見た。

 うーん、ここまで喜ばれるとは思わなかったな。


「ありがとう、花菜ちゃん。嬉しい。大事にするね」

「お土産のお礼ですから、気にしないでください。さ、水やりしましょう。先輩がいなかった間、私が一人でやってたんです。今日は先輩が頑張ってください」

「うん。任せて」


 二人でホースとじょうろで水を撒いていく。

 朝だけど陽射しが眩しくて、水を受けた花がキラキラ光っていて、それを見る先輩の顔が嬉しそうで、なんていうか夏だった。