世菜先輩と二人で駅前へ移動した。
私の自転車のカゴに先輩の荷物を積んだら、先輩が自転車を押してくれた。
メックでそれぞれ頼んで、奥の方のテーブル席に座った。
先輩の前には大量のハンバーガーやポテトが積んであった。
「お腹空いちゃって」
世菜先輩は少し恥ずかしそうだけど、男の子ならそんなものなのかな。柚希も最近たくさん食べてるし。
「ていうか、先輩は帰らなくていいの?」
「うち、土曜日は両親とも仕事だからさ。あと昼前に解散だったから、みんなそれぞれその辺で食べてから帰ってるよ」
「そうなんだ」
「翠と黄乃さんも学校に顔を出してから帰るって言ってたし。中庭にいただろ? 俺は花菜ちゃんに会いたかったからまっすぐ裏門に行ったんだけど」
先輩たち、いたかなあ。
そういえば中庭のベンチで固まっている人たちがいたから、そこにいたのかも。
気づかなかった。
世菜先輩はハンバーガーを三口くらいで食べてお茶を飲んでいた。
すごいな。ポテトも大きいサイズなのにもう半分くらいない。
「お土産買ってきたよ。えっとお菓子と、お茶と、アクセサリーと」
「えっ、待って、もしかしてそれ全部私に?」
「まさか。家に買った分もあるよ。部活の分は翠たちに任せた。こっち半分が花菜ちゃんの分」
「それにしたって多いですよ。もー、こんなにもらっちゃって……」
「ごめん、つい」
いつの間にか先輩のトレーの上はアップルパイとお茶だけになっていた。
そんなにお腹を空かせていたのに、こんな大荷物を抱えて私に会いに来てくれたのか、この人は。
「ありがとうございます、先輩。沖縄はどうでしたか?」
「やっぱり海がきれいだった。あと花の色が鮮やかでさ。流行のくすみカラー? なにそれ、みたいな原色ですごくきれいだった」
先輩はスマホを取り出して写真アプリを見せてくれた。
どれもこれも鮮やかで、明るくて、眩しい。
……アプリの中に初日に送ってきた写真が、ない。
先輩は垂れた明るい茶色のタヌキみたいな瞳を輝かせて、どうだったかを話している。
だから女子に囲まれて撮った写真をどうしたかなんて聞けなかった。
「そうだ、沖縄と言えばシーサー!」
写真を見ていた先輩がそう言って紙袋に手を入れた。
取り出したのはシーサーのぬいぐるみ二つとペアのストラップだった。
「なんで二つずつ?」
「シーサーは狛犬みたいにペアで守るものだから」
「なるほど」
渡されたシーサーのぬいぐるみはキリッとしているのにどこか情けない顔立ちで、なんだか先輩に似ている気がした。
「ぬいぐるみはまあ、いいですけど、ストラップはこれ……」
二つセットで入っているけど、たぶん友達やカップルで一つずつ持つやつじゃないかな。
顔を上げたら、先輩がいつものふにゃっとした顔で私を見ていた。
「先輩、一つあげますね。スマホにでもぶら下げておいてください」
テーブルの真ん中にシーサーのストラップを置いた。
「えっでも」
「私もそうしよう」
カバンからスマホを出してシーサーをぶら下げた。どうかな。お守り的な効果とかあるのかな。
「……俺とお揃いになっちゃうけど」
「嫌ですか?」
「嫌じゃないです」
先輩もシーサーを手に取ってスマホに着けて、小さく揺れるそれを、嬉しそうに見つめていた。
「そういえば首里城の天守閣にはシーサーじゃなくて龍が乗ってたよ」
「シーサーが乗ってると思ってたんですか?」
「思ってた。親シーサーみたいな大きいのが乗ってると思ってたけど、違った」
先輩は笑いながら、また写真を見せてくれた。親シーサー……?
***
私の自転車のカゴに先輩の荷物を積んだら、先輩が自転車を押してくれた。
メックでそれぞれ頼んで、奥の方のテーブル席に座った。
先輩の前には大量のハンバーガーやポテトが積んであった。
「お腹空いちゃって」
世菜先輩は少し恥ずかしそうだけど、男の子ならそんなものなのかな。柚希も最近たくさん食べてるし。
「ていうか、先輩は帰らなくていいの?」
「うち、土曜日は両親とも仕事だからさ。あと昼前に解散だったから、みんなそれぞれその辺で食べてから帰ってるよ」
「そうなんだ」
「翠と黄乃さんも学校に顔を出してから帰るって言ってたし。中庭にいただろ? 俺は花菜ちゃんに会いたかったからまっすぐ裏門に行ったんだけど」
先輩たち、いたかなあ。
そういえば中庭のベンチで固まっている人たちがいたから、そこにいたのかも。
気づかなかった。
世菜先輩はハンバーガーを三口くらいで食べてお茶を飲んでいた。
すごいな。ポテトも大きいサイズなのにもう半分くらいない。
「お土産買ってきたよ。えっとお菓子と、お茶と、アクセサリーと」
「えっ、待って、もしかしてそれ全部私に?」
「まさか。家に買った分もあるよ。部活の分は翠たちに任せた。こっち半分が花菜ちゃんの分」
「それにしたって多いですよ。もー、こんなにもらっちゃって……」
「ごめん、つい」
いつの間にか先輩のトレーの上はアップルパイとお茶だけになっていた。
そんなにお腹を空かせていたのに、こんな大荷物を抱えて私に会いに来てくれたのか、この人は。
「ありがとうございます、先輩。沖縄はどうでしたか?」
「やっぱり海がきれいだった。あと花の色が鮮やかでさ。流行のくすみカラー? なにそれ、みたいな原色ですごくきれいだった」
先輩はスマホを取り出して写真アプリを見せてくれた。
どれもこれも鮮やかで、明るくて、眩しい。
……アプリの中に初日に送ってきた写真が、ない。
先輩は垂れた明るい茶色のタヌキみたいな瞳を輝かせて、どうだったかを話している。
だから女子に囲まれて撮った写真をどうしたかなんて聞けなかった。
「そうだ、沖縄と言えばシーサー!」
写真を見ていた先輩がそう言って紙袋に手を入れた。
取り出したのはシーサーのぬいぐるみ二つとペアのストラップだった。
「なんで二つずつ?」
「シーサーは狛犬みたいにペアで守るものだから」
「なるほど」
渡されたシーサーのぬいぐるみはキリッとしているのにどこか情けない顔立ちで、なんだか先輩に似ている気がした。
「ぬいぐるみはまあ、いいですけど、ストラップはこれ……」
二つセットで入っているけど、たぶん友達やカップルで一つずつ持つやつじゃないかな。
顔を上げたら、先輩がいつものふにゃっとした顔で私を見ていた。
「先輩、一つあげますね。スマホにでもぶら下げておいてください」
テーブルの真ん中にシーサーのストラップを置いた。
「えっでも」
「私もそうしよう」
カバンからスマホを出してシーサーをぶら下げた。どうかな。お守り的な効果とかあるのかな。
「……俺とお揃いになっちゃうけど」
「嫌ですか?」
「嫌じゃないです」
先輩もシーサーを手に取ってスマホに着けて、小さく揺れるそれを、嬉しそうに見つめていた。
「そういえば首里城の天守閣にはシーサーじゃなくて龍が乗ってたよ」
「シーサーが乗ってると思ってたんですか?」
「思ってた。親シーサーみたいな大きいのが乗ってると思ってたけど、違った」
先輩は笑いながら、また写真を見せてくれた。親シーサー……?
***



