へへ、と空気を変えるようにわたしは笑う。
「でもこの尾びれは嫌いじゃない。アオさんが褒めてくれたあの日から、わたしはもっと好きになれたんだよ。ほら、お手入れもがんばってるから前よりツヤが──」
「尾びれだけじゃないけどな」
「え?」
「その底抜けに明るい性格も、よく通る声も、なんでもうまそうに食う姿も俺は……いや、やっぱなんでもねえ」
そ ん な こ と あ る ! ?
一世一代の告白がくることを期待していたわたしは、思わずバスタブから身を乗り出した。
「最後まで言ってよー!」
「大体わかるだろ!」
「わかんないよお!俺は、なに?す、す、好〜?」
「この半魚人が……」
「それ海の中じゃ差別用語!」と返しながらアオさんの顔を覗き込もうとしたとき、彼の耳がほんのり赤くなっていることに気がついた。



