一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―

「他のメンバーは1ヶ月ほど前から歌やダンスのレッスンを始めている状態ですが、まぁすでに個性出しまくり好き放題しまくりで……
日々をなんとか凌ぎつつ、日向さんの合流を待つばかりだったはずなんです……!」




宇都さんの声色が説明が進むごとにどんどん暗くなっていく。


「日向さんの傍若無人さ…ではなく、圧倒的カリスマと有無を言わせない知名度の差を中心に調和が取れればと思っていたのですが……
ひどいですよ、ドタキャンなんて!社長も何で認めちゃうかなぁ!」


わっと宇都さんのメガネの下から涙が噴き出した。



(ちょっとちょっと、大丈夫!?
何で事務所はこの人に問題児のお守りさせようとしてるの!?)


「今、僕が頼れるのは千景さんしかいません!」


縋る目でガシッと両手を掴まれた。


「いやいやいや、“美嶋日向の兄弟”しか肩書きのない私にそんな大役務まるわけないじゃないですか!」

勢いよく首を振って大拒否。


自分のことでも手一杯なのに、問題児束ねるなんて冗談じゃない!


「でも美嶋日向の威光があれば制御可能だと思うんです!
それに“千景は頼めば大体死ぬ気でなんでもこなす”と聞いています!
お願いします!僕のことを救うと思って!」


救えるかーい!

って口先まで出かかったけど、そんなギャグみたいなツッコミできる雰囲気でもない。


ただアイドルすればいいだけだと思ってたのに。
とんでもないオマケつきだったなんて。

頭の中では暴君の顔した兄が「1億」と凄んでくるし、ぐぬぬぬ、と歯を食いしばる。


「と……っ、とにかく!顔合わせに出てから!
話はそれからです!」


どんな奴らかも知らないし!

「そ、そうですよね!」と手際悪く書類をまとめる宇都さん。机からバサバサッとそれらが滑り落ちていく。


急に先行き不安。
兄が私に押し付けてきた理由がちょっと垣間見えた気がする。


内心ざわつきながら、顔合わせのために会議室に移動することになってしまった。