一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―



「千景さん、お待たせしてすみません!」


正面の自動ドアが開いて、黒縁メガネをずり下ろした気弱そうな男性が走ってきた。


「いえ、わた……俺も今来たとこで。」

あっぶない。一人称、意識して切り替えねば。

早速の失態を作り笑いで誤魔化す。


「えーと、貴方は……」

「ああっ!申し遅れました!
僕は千景さんの所属することになるユニット“flying-Hi”のマネージャーの宇都と申します。」

あわあわっと慣れない手つきで名刺を差し出す。


……なんか頼りなくないか?

見た感じ若そうな人だし、そんなもん?


一般人も入れるエントランスからゲートを通って、ビル内部の応接室に通される。


その間どでかい清涼飲料水のポスターに映った新人女優さんとすれ違ったりもして、急に実感が湧いてきた。



「どうぞ、座ってください。」



促されるまま、ふっかふかの高そうな椅子に座る。
見た目通りの心地よさ。腰が半分埋まった。



「日向さんから事情は全て聞いています。
社長やプロデューサーももちろん了承済みです。

美嶋日向の兄弟なら、話題性も十分だと。」

「ちなみに“俺”の性別のことは……」

「知っているのは僕と社長、それからプロデューサーのみです。」



やっぱり。

メンバーには隠さないといけないのか。



「それで、こちらが千景さんが加入することになるアイドルユニットの概要です。」


スッと机上に差し出された書類を持ち上げ目を通す。
それに合わせて宇都さんが口頭で補足説明をしてくれた。