一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―


スタンバイ完了の合図で、重いベース音が落ちる。
そこに続く金属音のようなハイハットとギターベース。

瞬間、ビートに合わせて3人の体が弾けるように収縮を繰り返す。


「わぁ、NO MERCY!挑戦的なの持ってきましたね」

「ヒット、イケてるじゃん。
技術がないとダサく見えるんだよなぁ」


冴さんとRyoさんが楽しそうに話し合う。
掴みは完璧。パフォーマンスへの期待が高まってるようだ。


ドン!というドラムのフットの音で動きが止んで、静寂。
真下に落としていた視線をユウキが正面に向けた。


「!」

その視線の鋭さと、凛と強く綺麗な表情に見ていた人全員の心臓がドキッと跳ねる。
その瞬間を逃さないとばかりに、艶っぽいユウキの唇が動いた。


「No mercy…」

ウィスパーボイス。
マイクなしなのにスタジオ中に余韻を残す。

見ている人の視線を固定する様に正面を射抜いていたユウキの視線が、スッと昊に流れる。


視線誘導。
観てる人をコントロールするのが上手い。



微動だにしなかった昊の胸が、深く息を吸って膨らんだ。


「感情はいらない ただ結果だけ
 選ばれる側だけが ここに立てる」


昊が歌い出した途端、スタッフさん達がざわつく。


「やっぱ上手いね、昊くん」

「元・歌系のMe Tuberだっけ?生歌もクオリティたっか――……」


声だけで曲の世界観を作る色のある歌声。
圧巻。その一言。

AメロBメロは歌に振り切った演出。

蓮が軽いステップで前に躍り出た。

「Fakeなら消えな ここは遊びじゃねぇ
 中途半端な夢 全部置いてけ
 覚悟も実力も 足りねぇままなら
 その場で終わり 先は見えねぇな」


ラップ!できるんだ。

蓮が挑発的に人差し指を折り曲げ小首を傾げる。

強者の余裕に見えるビートに乗った軽いステップ。
細かなアイソレーションで刻む小技が洒落て見える。


「蓮のダンスはやっぱり華がありますね」


冴さんがコソッとSEIKOさんに話しかける。
SEIKOさんも静かに頷いた。


ラップから落ち着いたBメロに繋がって、場のボルテージが上がっていく。


いよいよサビ。3人の目の色が変わった。