お互いをよく知るための時間……
つまり、どういうこと?
何か企んでいそうな態度に、全員が息を呑んで身構える。
SEIKOさんはそれを面白がるようにクッと双眸を細めた。
「千景と南。あなた達が言うところの推薦組と、ユウキ・蓮・昊の移籍組に分かれてパフォーマンスをしてもらいます。
練習時間は今から3時間。曲の指定は無し。
ワンコーラスの披露。」
ぱ、ぱ、パフォーマンス!?
しかもたった3時間の練習で、いきなり!?
(曲とか歌割りとか振りとか、そういうの決める話し合いも込みだとしたら全然時間足りない……!)
「うっへぇ、まぁーじで?」
「いきなり……即興で?」
チラリと周りを見れば、蓮もユウキも同じく面食らった顔をしている。
「……実力を示せってこと」
無表情のままの昊が、淡々とした口調で呟く。
宇都さんも「ひえぇ」と目を白黒させていた。
そんな中、目を輝かせて笑っている人が1人だけ。
「いーね!めちゃくちゃ面白そう!」
南。
そんな彼を見て、SEIKOさんは掘り出し物を見つけたみたいにフッと笑い声を漏らした。
「宇都。空いてるスタジオ一室、すぐに押さえて。
アンタ達はオロオロしてる時間ないよ!さっさと動く!」
SEIKOさんのハリのある手拍子に急かされて、一斉にわっと動き出す。
時計の針は現在午前8時15分。
壁掛けのデジタル時計は、容赦なく秒刻みで動いている。
「大丈夫なんですか?SEIKOさん……
千景さんはの実力は未知数なのに。
余計に溝が深まったりとかしないですよね……?」
宇都さんがスタジオの管理室に電話をかけながら、不安そうにSEIKOさんの方を伺う。
「さぁね。でもここでひとつになれないならそれまでだわ」
真っ二つに分かれてドタバタしている私たちを真っ直ぐに見つめながら、SEIKOさんは腕を組む。
「デビューのための第一関門。まずはクリアしてもらいましょうか」



